「食物繊維=身体にいい」はいつも正解?
食物繊維といえば、腸内環境を整えたり、血糖値の上昇を緩やかにしたりと、「健康によい成分」としてよく知られていますよね。実際、私たちのふだんの食事にとって欠かせない存在です。
けれど、空手の大会やスポーツの試合など「特別な1日」には、ちょっと注意が必要です。
実は、消化やパフォーマンスの観点からみると、「食物繊維が多すぎると逆効果になることもある」のです。
試合前に食物繊維を避けたい3つの理由
① 消化に時間がかかるから
食物繊維(特に「不溶性食物繊維」)は、胃や腸をゆっくり通過していきます。
そのため、試合前にたくさん摂ってしまうと、「まだ消化中でお腹が重たい…」という状態になりかねません。集中力や動きに影響することもあります。
② 腸の動きを活発にしすぎるから
食物繊維には、腸のぜん動運動を促す働きがあります。
つまり、試合中に「お腹がゴロゴロする」「急にトイレに行きたくなる」というリスクも。
とくに緊張しやすいお子さんは注意が必要です。
③ ガスが溜まりやすくなるから
ブロッコリー、豆類、玉ねぎなどには「発酵性の糖質(FODMAP)」が含まれていて、腸内細菌によって発酵されるとガスが発生します。
その結果、お腹が張ってしまったり、集中力をそがれる要因にもなります。
避けたい食材とOKな食材(比較表)
試合当日に避けたいもの、安心して取り入れられるものをまとめました。
食材カテゴリ | 当日OKな食材 | 控えたい食材(例) |
---|---|---|
野菜 | にんじん(加熱)、かぼちゃ、トマト少量 | ブロッコリー、キャベツ、ごぼう |
豆類 | 絹ごし豆腐、大豆製品は前日までに | 納豆、蒸し豆、ひよこ豆など |
果物 | バナナ、りんご(すりおろしも◎) | プルーン、干し柿、アボカド |
炭水化物 | 白ごはん、うどん、パン | 玄米、全粒粉パン、雑穀ごはん |
※「消化のよさ」がポイントです。
食物繊維がゼロでなくても、やわらかく・加熱されているかを意識すると安心です。
「FODMAP食」ってなに?消化にやさしい食事の考え方
海外では、消化に不安がある人やアスリートの間で「FODMAP(フォドマップ)食」が注目されています。
FODMAPとは…
- F:発酵性
- O:オリゴ糖(例:玉ねぎ、にんにく)
- D:二糖類(乳糖など)
- M:単糖類(果糖など)
- A:そして
- P:ポリオール(キシリトールなど)
これらは腸内で発酵しやすく、お腹にガスや膨満感を起こしやすい成分。
スポーツ前や大事な日の前には、なるべく避けるのがセオリーとされています。
まとめ:「健康によい=運動前によい」とは限らない
食物繊維を控える…というと、ちょっとびっくりしちゃいますよね。「えっ、普段の食事は大丈夫?体に悪いことしちゃってる??」と不安に思う方もいるかもしれません。
でも、これは「あくまで一時的・目的別の調整」です。
運動前・試合前という特別な状況では、
- お腹にやさしい
- 消化がスムーズ
- 余計なガスが出にくい
こうした条件を意識することが、パフォーマンスの安定にもつながります。
「食物繊維は普段は大事。でも、試合前だけはちょっと控えめに」——そんな柔軟なスタンスで、サポートしていけるといいなと考えています。