チーズに含まれるリンとは?その働きと注意点
チーズはカルシウムが豊富で、子どもの成長にも嬉しい食品。
けれど、同時に「リン(Phosphorus)」も多く含まれています。
普段あまり意識しないミネラルですが、過剰になると体内バランスを崩すこともあります。
リンの役割と過不足リスク
リンは骨や歯をつくるうえで欠かせない成分であり、エネルギー代謝やDNAの材料にもなります。
ただし、摂りすぎるとカルシウムの吸収を妨げることがあり、腎機能が低下している方では「高リン血症」などのリスクも。
健康な人でも、食生活の乱れで“慢性的に多め”になりやすい点に注意が必要です。
食品中のリン:有機リンと無機リン
リンには大きく分けて2種類あります。
- 有機リン:肉・魚・乳製品など自然の食品に含まれる。吸収率は60〜70%ほど。
- 無機リン:加工食品や清涼飲料に添加されるリン酸塩。吸収率は90%以上で、体内に入りやすい。
チーズは本来「有機リン」が主ですが、プロセスチーズなど加工度の高いものには「無機リン(添加物)」が加わっていることもあります。
1日の目安量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025」によると、
- 成人女性の目安量:約800mg/日
- 上限量:3,000mg/日
日本人の平均摂取量はこの目安を上回る傾向があり、特に加工食品の多い食生活では過剰になりやすいとされています。
チーズのリン含有量を知っておこう
チーズは種類によってリン量がかなり違います。代表的な数値を見てみましょう。
チーズの種類 | 100gあたりリン量 | 備考 |
---|---|---|
プロセスチーズ | 約730mg | 加工時にリン酸塩を使用することがある |
6Pチーズ | 約970mg | リンがやや多め |
ナチュラルチーズ(モッツァレラなど) | 約540mg | 加工度が低く比較的控えめ |
カッテージチーズ | 約300mg前後 | 低脂肪・低リンタイプ |
※文部科学省食品成分データベースおよびメーカー公表値より概算
チーズを安心して食べるための目安と選び方
結論:1日20〜30g(1〜2切れ)程度なら安心です。
成人・ママ世代の安全ライン
- プロセスチーズ1切れ(約20g)でリン150〜200mg程度
- 1日2切れ程度であれば、他の食材とのバランスを保ちやすい
- 加工食品や清涼飲料を一緒に摂る場合は、やや控えめを意識
子どもの場合
- 小学生なら1日1切れ(約20g)程度が目安
- 成長に必要なカルシウム源として役立ちますが、食べすぎや塩分の取りすぎには注意
リンを含む添加物と目安(ママ向けまとめ)
「チーズのリン」は自然由来が多いですが、他の加工食品に使われている“添加物のリン”は吸収率が高く、体内にたまりやすい傾向があります。
ここで一度、どんな食品に使われているか整理してみましょう。
添加物の名前(表示例) | よく入っている食品 | 何のために使う? | 含まれる量の目安 | ママへのアドバイス |
---|---|---|---|---|
リン酸ナトリウム | プロセスチーズ、ハム・ソーセージ | 乳化・保存・pH調整 | 0.05〜0.5%程度 | 「乳化剤」「pH調整剤」表記を見かけたらチェックを。 |
リン酸カリウム | 清涼飲料、調味料 | 酸味や保存の調整 | 同上 | 子どものジュース類はがぶ飲み注意。 |
リン酸カルシウム | ビスケット、ベーキングパウダー | 膨らませるため | 0.01〜0.1% | 手作りお菓子は量を抑えやすい。 |
ピロリン酸塩・ポリリン酸塩 | 加工チーズ、冷凍食品 | なめらかさや結着 | 0.01〜0.1% | 「ポリリン酸Na」なども要チェック。 |
pH調整剤(リン酸系) | 漬物、惣菜、ドレッシング | 酸味・色の安定化 | 0.01〜0.3% | 「pH調整剤」だけの表示は見分けにくい。 |
今すぐできるチェックリスト
- 成分表に「リン酸」「ポリリン酸」などがないか見る
- 加工品を食べた日は、次の食事を“野菜多め”に調整
- チーズはナチュラルタイプをメインに
- 飲み物は水や麦茶ベースにして、清涼飲料を減らす
- 子ども用おやつは「果物+ヨーグルト」など自然素材中心に
量よりも“重なり”がポイント。
1つの食品に含まれる量はごく微量でも、ハム+チーズ+ジュース+お菓子と重なることで一日のリン摂取量が一気に増えることがあります。
おすすめチーズと食べ方
低リンタイプを選ぼう
- カッテージチーズ:水分が多く、リン控えめ。サラダや副菜に。
- リコッタチーズ:ふんわり軽く、カルシウムもとれる。
取り入れ方の工夫
- グラタンやトーストには「ナチュラルチーズを少量トッピング」
- チーズ+果物やナッツの“おやつプレート”も◎




まとめ:ママ目線で安心してチーズを楽しむコツ
- チーズはカルシウム豊富で優秀な食品。
- ただし、リンの摂りすぎを防ぐには「種類と量の選び方」が大切。
- ナチュラルチーズを中心に、1日20〜30gを目安に。
- 成分表チェックと“重なり防止”で、家族みんなが安心できる食卓に。
「控える」ではなく、「整える」。
その意識で、チーズはもっと心強い味方になります。
FAQ
Q1. チーズは毎日食べても大丈夫?
→ 健康な方なら1〜2切れ程度なら問題ありません。加工食品との組み合わせに注意。
Q2. プロセスチーズとナチュラルチーズ、どちらが良い?
→ ナチュラルチーズの方が添加物が少なく、リンも比較的控えめです。
Q3. 子どもにどのくらい食べさせていい?
→ 小学生なら1切れ程度を目安に、他の乳製品とバランスを取りましょう。