ちょっと変かも“添加物大国JAPAN”の真実。日本の添加物は世界一?資料を元に海外と比較してみました!
  • 日本:1500種類
  • アメリカ:133種類
  • ドイツ :64種類
  • フランス:32種類
  • イギリス:21種類

突然ですが、

日本は添加物大国だって知っていますか?他国とどれだけ差があるのか、知っていますか?

そんなことをまとめている記事で見かけるこんな感じの数値。

「種類」のところを「品目」と記載している記事も見たことがあります。数値は若干異なることもありますが、大方こんな感じで、日本が1500、他国が桁違いに少ないということを主張されている印象です。

でも・・・

ばなこまま
もし日本の1500が正だとするなら、アメリカの133って…ホント?
日本は遅れている、オーガニック後進国なんてイメージはあるけど、
とはいえ…アメリカとこんなに大差があるっていうのは意外だなー。
ばなこまま
欧州はオーガニック文化など日本よりかなり進んでいるとは思うけど、こんなに少ないの?すごい!
なら、日本も欧州に学べば、確実に、少しでも減らせるよね!

許されている添加物が21なら全部メモできるかも。知りたい!!

ワタシ自身のことを言うと、
日本で認可されている添加物で避けたいものはあるし(というかなるべく全般避けています。)、オーガニックや自然農のような仕組みが一般的になってほしい想いもあります。とりわけ欧州のオーガニック事情なんかを聞くと「いいなぁ~!暮らしやすそうだな~!」なんて思ったりします。
つまり、日本とオーガニック先進国の間には大きな差があるとは感じています。

ただ、数値で比較する以上、その真偽は気になります。

少し調べてみることにしました。

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日本で認められている添加物の定義~海外と異なる~

添加物は大きく4区分あります。以下は厚生労働省HPの引用です。

Q2.どのような食品添加物の使用が認められているのですか?
日本で使用が認められている食品添加物には指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物があります。

厚生労働省HP よくある質問(消費者向け)より

4つそれぞれの品目数を確認してみます。

指定添加物 472品目

(令和3年1月15日改正まで記載)

原則として、食品衛生法第12条に基づいて、厚生労働大臣の指定を受けた添加物(指定添加物)だけを使用することができます。食品衛生法施行規則別表1に収載されています。この指定の対象には、化学的合成品だけでなく、天然物も含まれます。

なお、香料について「エステル類」等の一括名で指定した18類の分類に該当すると判断されたものは含みません。(厚生労働省の通知で示されています。)

後述しますが、こちらを別にしているのは他国と足並みを揃えるため、です。

ちなみに3150品目(※)あります。(!!!)
とても多く感じますが…
こちらも後述しますが、他国のそれを見るとあまり驚く数値でもないかもしれません。

※ちなみにちなみに…
リストの最後は“3252”のナンバリングがされていますが、ところどころ抜けていて記載があるのは3150個でした。抜けている理由は不明で、もしかしたら登録数としては3252が正かもしれません。
状況の共有程度に受け止めていただけると幸いです。

既存添加物 357品目

(令和2年2月26日改正まで記載)

既存添加物は、平成7年の食品衛生法改正により、指定の対象が化学的合成品から天然物を含むすべての添加物に拡大された際に設けられました。我が国において広く使用されており、長い食経験があるものについて、例外的に指定を受けることなく使用・販売などが認められたものです。既存添加物の安全性の確認、規格の制定などが進められています。

天然香料 614品目

平成27年3月30日 消食表第139号 消費者庁次長通知「食品表示基準について」 別添 添加物2-2 に基づく)

天然香料は、動植物から得られる天然の物質で、食品に香りをつける目的で使用されるものです。基本的にその使用量はごくわずかであると考えられます。

合計数が記載されていなかったため、ばなこままが「名称」をカウントしました。(2022/1/14時点)

一般飲食物添加物 106品目

平成27年3月30日 消食表第139号 消費者庁次長通知「食品表示基準について」 別添 添加物2-2 に基づく)

一般飲食物添加物は、一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるものです。

合計数が記載されていなかったため、ばなこままが「名称」をカウントしました。(2022/1/14時点)

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日本で認められている添加物合計1549品目~海外と異なる~

指定されている添加物をすべて合わせると1549個でした。
恐らく多くの記事で言われている日本の添加物数1500というのはここからきた数値かなと思います。

EUで認められている添加物の定義~日本と異なる~

EU では、着色剤や甘味料、保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの添加物の使用は、認可リストに掲載された食品添加物のみ使用が許可されています。

EU では、着色剤や保存料、抗酸化剤、乳化剤、安定剤などの食品添加物と、香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」と総称しています。

また、加工助剤は食品添加物としては規制されていません。その使用に関してはガイドラインに規定されている形のようで、日本とはかなりルールが異なることがわかります。

あらら?EUの添加物が386 品目ある!(2015 年 9月 29 日現在)

以下の資料8ページ「4.添加物の種類・リスト」によると登録品目数は386品目と記載があります。


他に、EUの食品添加物のデータベースも少しのぞいてみました。

このデータベースは、EUで食品に使用することが承認されている食品添加物とその使用条件について通知するためのツールとして活用されているようです。
なお、連合の食品リストに基づいており、規則(EC)No1333 / 2008の付録IIにあるとの記載がありました。

ちなみに、ばなこままはdon't speak Englishです。。。

それでも一瞬でわかったことがあります。

間違いなく品目数は数十ではない。

どなたか…
イギリスは21種類!
EUは少ない!日本は遅れている!

という記事を見掛けるのですが、ちょっと恣意的な印象を受けます。

そもそも、日本だと他に
風味付け・栄養目的で使用された物質、加工助剤や食品酵素や香料なども添加物として扱われており、よく言われる「1500」にはそれらすべてを含む形でカウントされています。(※)

※この記事のはじめのほうでも触れましたが、
「エステル類」等の一括名で指定した18類の分類に該当すると判断された香料は批判サイトでカウントされていないことが多いです。日本との比較で挙げられるEUやアメリカなどでも香料は全くカウントされていないので、そこはむしろ、カウントしないほうがフェアですね。
(とはいっても、日本の場合は18類に該当しない香料はカウントされていますが。)

それからこれは推測ですが、
18類に該当する香料が批判サイトでカウントされないのは、たぶん、見落とされているんですよね。厚生労働省HPにあるリンクに飛んでも一発では出てきません。

先ほど言いましたがばなこままはdon't speak English です。
でも、Food Additives(食品添加物)という言葉は覚えました。


そして、以下のデータベースに飛んで…

右上のAdditivesをクリックすると・・・

すっごくたくさん出てくるんです。
googleの機能で日本語訳にしてみたり、いくつかピックアップしてAdditive nameを調べてみると日本でも見たことのある添加物の名前が出てきたり。

左のほうに検索結果406件と表示も出ています。

結論としては少なくともネットでよく見る「桁違いに少ない」という見方には疑問を持ってよさそう、ということが言えると思います。

添加物を極力避けているワタシですが、
数値の比較に恣意的なところやアンフェアな感じがあるのはあまり好きになれません。。。

下に、データベースのリンクを貼っておきます。
なお、香料のデータベースも別で用意があったので合わせて貼っておきますね。

食品添加物のデータベース

https://webgate.ec.europa.eu/foods_system/main/?sector=FAD

香料のデータベース

https://webgate.ec.europa.eu/foods_system/main/?sector=FFL&auth=SANCAS

米国で認められている添加物の定義~日本と異なる~

以下にまとめました。

ただ…

添加物(香料を除く)
1,612品目(重複を除く)
①GRAS以外添加物 552品目
②GRAS(届出以外) 635品目
③GRAS(届出) 460品目
④着色料 46品目
※①~④の他、容器包装用添加物が475品目存在

香料(天然香料を除く)
約2,300品目(注5)
天然香料
約260品目

ばなこまま
GRASって何?(泣)
次から次へと、ルールが出てきて、しかも国や地域で全然違ってもうイヤ…

この情報は以下を元にほぼそのまま引用、多少見やすくするために改行や装飾を行っています。

こちらの資料にGRASの説明が載っているので引用します。

(用語)

ⅰ)GRAS(Generally Recognized as Safe):一般に安全と認められる物質
1958年以前に、食品において一般に使用されているもので、科学的証拠はなくても、安全であると認められるもの。
ⅱ)GRAS(届出)
申請者が特定物質をGRASであることについて、FDA に届け出るもの。その届出に基づき、FDAは「同意」「保留」「却下」の3種類の評価を行う
が、仮にFDA が同意しない場合でも、その物質による危被害が発生しない限り,届出者はその物質をGRAS 物質として販売を続けることができる。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000727387.pdf

あらら?米国の添加物1612品目ある!しかも香料除いて(令和3年1月15日現在)

冒頭でお伝えした「アメリカ133種類」という数値とはずいぶん印象の違う数値です。
この133という数字が「種類」で考えた場合に合っているのかどうかは不明(そこまで追うのはやめました。)ですが、少なくとも日本の1500は「品目」の数です。

そもそも、種類と品目を混同して載せているようなので比較としては誤りだと思います。

添加物規制に関する国際比較をのぞいてみると…~日本と海外の比較~

厚生労働省HP 添加物規制に関する国際比較(令和3年1月15日現在)
ばなこまま
コーデックスとは、食品の国際規格のこと。
EUの添加物の分類はこれに近い感じかな。

×印は使用を禁止しているという意味ではなく、「添加物」に定義されないという意味です。

この3つの比較だけを見ても、定義の大きな違いを感じます。

日本の添加物数を海外と比較してみたまとめ

日本の資料、EUの資料、米国の資料とみてきて詳細を読み込むまではしなくとも、国・地域ごとに定義が異なり、これらの数の比較が単純にはいかないことがわかりました。
また、冒頭の数値は明らかに恣意的なのではないかなと、そんな印象を持たずにはいられません。

間違った情報を引っ提げて不安にかられたり、どこかでそれを口にして何かを批判するのはとても危険なこと。

自分の心地よい食生活を追及するうえでは、必要な情報を取れたら十分。
不要な情報や誤った情報が少なくなることを願いつつ、鼻が利く自分でありたいなとも思うのでした。

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